重ねられた生活 20180127~20180207

0127(Sat)

なんとなくの「うまくいかなさ」のようなものを目が覚めたときから感じていて、部屋を出る前からその予感が的中していることが分かるようなことが次々と。どれも決定打ではないのだけれども、小さなダメが重なっていくこの感覚。すごい、みるみるうちに負のエネルギーが集まり成すすべもなく気分が暗くなっていく。そんな不調さは多忙を極めた状況にひどい作用をして、もうあなたでさえも止めきれない、そういう具合にさせられてしまう。それでもこの人の放つ陽性の輝きはすごくて、今あるもろもろを放り出して彼女のことを大切に思わずにはいられなくなる。それでも今日の状況はとにかく具体的な改善を見せることはなくジ・エンド。ひとり終電へと吸いこまれていく。眠らずに待っていてくれたあなたへ明日の連絡。少しずつ硬くなった心を解いていく。寒さのため当初の予定を少し変更。プランをいくつか用意していておいて正解だった。逢瀬に関して大切なのは僕がどうしたいか・どうしてあげたいかではなく、彼女が何を受け取るかだ。そういう気持ちがある。話の最後にはずいぶんとやわらかくなって、いつも通り相手を甘やかすような気持ちが回復してきた。そうしてお互いに気の抜けたやりとりをしてから眠りについた。
 
 

0128(Sun)

風邪の気配をあれやこれやで奥にしまいこんではおめかしをして出かけていく。あなたの到着を待ちながら、あなたのいない世界のことを考えていた。小走りでやってくる姿を見ながら、無事に来てくれてありがとうと思う。職人の技を見ては「ここで働く!」と子どもみたいな感想をいう姿を笑ったり、やいのやいの言いながらおみやげを買いこんだり、2人でお願い事をしにいったり、奮発したご飯をおなかいっぱい食べたりした。普通のことがこんなにも素晴らしいなんて!という感動を噛みしめる。今の僕には「気持ち」しか話したいことがないから、それを話してあとはあなたのことをたくさん教えてもらった。部屋まで送り届けて、余韻をやり取りしながら、あとは僕がこの関係を「友人」かなにかの箱の中にしまいこめばきっと全部うまくいく、と思ってうっすら悲しくなる。そこに愛がある関係が先にできあがってしまうと、それよりももろい関係性に戻すのは困難だって話があって、それは実感としても良く分かる。それでも他人を大事にするやり方がよく分からなくて、特別な感情が対象にわくと、決まって前者に類するカテゴリへと入れてしまうような関わり方ばかりしてしまう。僕はこの恋で、愛をこえていくはずだったのに。そんなことを考えながら、ひとり揺られていた。がらがらの車内からあなたの部屋まで、立場と伝わってしまっているという関係性に寄りかかった甘い言葉が電波にのっていった。
 
 

0129(Mon)

問題だらけの職場に新たに問題が起きていて、そのあおりをもろに受けているのが自分なのだった。それでも現状辞めるという選択肢をすぐには取れない(お金がいるのだ!)ということを考えれば、ぐっとこらえていくしかないのであった。一所懸命にやれば報われるだなんて思うほどナイーヴではないけれど、それでも誰かの何かになればまあいいかと考えている。
 
James Blakeの新曲が未来だった。去年のドン・マクリーンのカバーも歌心があって良かったけど、やはり最前線という感じがするものはワクワクする。2018年の音楽もよい滑り出しだ。
 

James Blake - If The Car Beside You Moves Ahead (Official video)
 
ちなみにYoung Echoが今年アルバムを出すらしいというのを聞いてとても楽しみにしている。
  
 

0130(Tue)

今までにないレベルであなたが弱音を吐いた。僕としてはようやくここまで来たか、という思いだった。自分のことを名前で呼ぶ瞬間と、普通の言葉遣いと、そういうものを重ねての。でもすぐにハッとした表情で、こんなことを言うはずでは…との言。だから、そこにとびきりの甘やかしをまぶしていく。だがときに、それは自分が言われたい言葉ではなかったか。もちろん僕はやさしい言葉をかけられたからといってそれに甘えるほど対人の壁は低くないのだが、それでも。なんにしてもこの前の逢瀬はうまくいったということなのだろう。誰にとって、あるいは何にとって良かったのかはよく分からないが。
 
 

0131(Wed)

それで、好きな人を励ますためにお菓子を買い込んではメッセージカードを忍ばせる。あおいさんのガーリーな側面が出とるで…!とか思いながらことを進めていく。二人の関係が口を滑らせたあの日以来ゆっくりと進んでいることは明らかなのだけれども、どこへ向かっているのかはよく分からない。まあ本来人間関係なんてそんなもののはずなのだけれども。言葉を、名前を欲するのは何もこの手のことに関わらず顔をのぞかせる僕の癖だということを差し引いても、時々自分は何をしているのかと感じる。何にしてもしたいようにするしかないわけで。いつだってなんだってそうなのだ。
 
 

0201(Thu)

2時に寝て4時に起きる。寒空の下ぐんぐんと歩を進める。朝やけだ。きれいだ。綺麗な景色を見せたい人がいる人生で良かった。実際に見せられる機会はもう二度と訪れないにしても。無理がたたって昼前には調子を崩してしまったが、ここからは役割の袖が深くなる時期だ。倒れてはいられない。
 
生活をやり過ごすので精いっぱいで、勉強したり本を読んだりする時間がとれなくてうんざりしている。人生をゆくことは、たとえばあなたと過ごすことでかろうじて息をしているというような有様で。僕がしている仕事にはさも自分が特別な存在であるかのような振る舞いをする人たちがたくさんいて僕はそれがとても嫌なのだけれども、それでも換えがきくはずのことにこんなにも時間をつかって心をすり減らして、これでいいのだろうかと思ってしまう。なんとか立て直したい。
 
 

0202(Fri)

あなたが帰り道にカバンをごそごそとしているので待ってあげる。なんだろうと思っていたら、お返しとかではなくて…とお菓子をくれてあらあらどうもの景色。前に僕が好きだと言っていたものの上位モデルのやつだったのは後になってからはたと気づいたことで、その時は(なんでもないこととはいえ)そんな風に気持ちと時間を使ってもらえたことを嬉しく感じていた。その後ブルートレインが誰かの人生と引き換えに僕らの時間に色を足していて、そんなふうに考える自分の身勝手さにひんやりとしたものを感じながら、それでも僕が生きているのは「わたしのせかい」だからこそ、などと考えた。
 

0203(Sat)

人にプライヴェートな頼みごとをするだなんていつ以来だ?僕のことをよく理解している友人が聞いたらなんていうだろうか。僕自身はといえば「僕はこうやってわたしのせかいの中に誰かのわたしのせかいを溶かしていくようなやり方をするんだな」なんてふうに思っていた。
 
僕の人生。それは君と出逢う前と後で(僕の最後の日々という意味で地続きではあるにしても)劇的な転換がそこにはあったと感じている。君がいたから僕のわたしのせかいには僕しかいなかった。出逢っていなければ、それでもきっと同じような選択をしていたとは思うけれど、そうではなくて、わたしのせかいにもっと住人を呼び込むようなことをしていたかもしれないと思うのだった。だがそうするかどうかが問題なのではなく、いずれにしてもそれを自分がどのような方法でするのかということについて興味があって、その一端がここにきてようやく分かったので面白く感じているのだった。
 
あなたが一緒にいたがった(この時点で僕はもう意味が分からないのだけれども)ことと様々な偶然と、まあそんなこんなが重なってかなり頻繁に顔を合わせていた僕らも少し間隔が開くことになってしまった。素直に残念がる僕をしり目にあっけらかんとした姿を見せるあなたを愛おしく思う。その構造に何かを思い出すけれども、あの頃そこにあったようなヒリヒリとした激しい優しさは影をひそめ、現在そこにあるのは慈愛にも似た穏やかな優しさなのだった。
 
 

0204(Sun)

くたくたになって夜中に部屋に戻るとNetflixに『ER緊急救命室』が来ていた。喜び!以前S4の途中でうやむやになってしまっていたので続きを見ることにする。
 
 

0205(Mon)

今日は盛りだくさんでいろんなことが起こった。僕の知らないところでいろんな人が生きているということをひどく実感した日であった。
 
部屋に戻りながら「今までのこと全部消すから幸せになって約束よ」と「今までの過去なんて無かったかのように歌い出すんだ」の近似を思っていた。

大森靖子「マジックミラー」MusicClip
 

 
今にとどまれず、瞬間にたどり着けない僕らはどこを生きればいいのか。未来を生きるべきだと僕は思う。過去にしか未来はないが、過去に生きてしまえばそれは死んだも同然だ。過去に生きることを慎重に回避しながら過去を受け取りなおして未来を歩む。そういう姿勢が重要だ。ノスタルジーに中指立てるということ、今が昨日じゃなく明日だと思うこと、僕が文化から受け取っているものは10代の頃からずっと変わっていない。そのことが僕が僕であったことの(頼りないにしても)証のような気さえしている。全て現在につながっており、それは僕を貫いて未来へ向かって進んでいる。
 
 

0206(Tue)

次が遠いね、ということを電波に乗せて交わし合った。それにしても自分から寂しいなんて言ってくるとは思わなかった。う~ん…。まあこうして互いに互いを利用するくらいの方がいいのかもしれないねと思うことにした。
 
 

0207(Wed)

泥のように眠った。こころはギリギリだ。あなたがいなければ、今の僕に語ることなど何もない。


先々週から先週はここまで。
 

2018年1月の断片的な目次

・ 1/ 1 ロールモデル
・ 1/ 2 この朝やけを、見せたい人がいる
・ 1/ 3 顔を見に行ってみようかな
・ 1/ 4 マインドが子どもだと言えばそうなのかもしれないけれど
・ 1/ 5 いないじゃん
・ 1/ 6 この人を離すな
・ 1/ 7 泣いてしまいそうだ
・ 1/ 8 決断(去年から決断してばかりだ!)
・ 1/ 9 次はどうしようかな
・ 1/10 この人を離すな(2)
・ 1/11 大人になってしまったのだな、と
・ 1/12 花だね
・ 1/13 理解者
・ 1/14 歩かされている(あるいは歩かせるために)
・ 1/15 学生は大変だ
・ 1/16 「お話するの、とっても楽しいです」
・ 1/17 僕に任せておきな、の安売り
・ 1/18 「寂しいだなんて、どうして僕にそんなこと言うのさ」
・ 1/19 長い闘いの始まり(痛かった!)
・ 1/20 偵察(あわよくばの敗北)
・ 1/21 スムースさの対極
・ 1/22 わははは
・ 1/23 やっぱり外から見たらそう見えるんだって!!
・ 1/24 サンキュー準急
・ 1/25 ぜんぜんだめ
・ 1/26 疲れてるみたい
・ 1/27 君は俺とならどんなとこ行きたい(まさやんは偉大だ)
・ 1/28 「またすぐそういうことする!」「僕そういうとこあるからなあ」
・ 1/29 あなたが自分のことを名前で呼んだ瞬間のこととかいくつかの些細な気づきを
・ 1/30 愛の歌に背つかれて与えるより多く奪ってしまうんだ
・ 1/31 「ぜったいウソだ~」「さてどうかな?」