重ねられた生活 170603~0609

0603(Sat)

また終電だ。とはいえ、慣れっこではあるのでイライラは駅に置き去りにして、乗る時間や曜日に寄る客層の違いなどをぼんやり眺めるに限るななどと考えている。比較的空いていた車内にドヤドヤと外国人が乗り込んできた。英単語帳を読むのに少しだけドキドキする。
 
『フレークド』を見始めた。おっさんたちがワチャワチャしている。楽しい。早く『ハウスオブカード』の新シーズンを見るべきなのだが、面白いのは分かっているので楽しみに取っておくのだ。というか『breaking bad』の消化に忙しいのもある。その後、夜中に映画を見ながら寝落ち。
 
 

0604(Sun)

起きぬけに昨晩の続きで『パルプフィクション』を見る。その後疲れからかまた眠ってしまう。気が付いたら日も落ちてしまっていた。その後は、持ち帰った仕事に手をつけることから目を背けて片づけに精を出した。ベランダを掃除しながら、『リトル・フォレスト』と紙のおねーさんからの影響もあり、ここに土と緑をという気持ちがむくむくと。でもこういうときとても僕は慎重なので、以前頓挫した一輪ざしのようなものからまずは始めようかと考えている。お別れの際にいただいたたくさんの花々は忙しさにかまけて既に枯らしてしまったから、僕と君の最後の日々にむけての再会を演出したあの駅前の花屋に行く必要がある。ブーケタイプがいいかな。控え目なコがいればいいな。いつ行こうかな。
 
 

0605(Mon)

完全に体調を崩してしまった。立て込んだ仕事と気温差にやられてしまった格好だ。それでも気温そのものに文句はない。最近の夜の風は本当に気持ちが良かったから。
 
スケジュールがぎちぎちに詰まっていて呼吸すらむつかしい。出勤前にクリーニングを受け取りに行くだけで何かほっとしたものを感じてしまうほどだ。
 
昨晩見た『リトル・フォレスト 冬』の主題歌でyuiの声がBjorkみたいに聴こえるところがあって驚いたのを思い返している。春夏秋冬それぞれの主題歌を収めたアルバム『色』はもしかしたらとても良い作品なのではないだろうか。全て見終わったら買おうかな。
 

Little Forest [リトル・フォレスト] OST -- Winter [冬] -- Flower Flower OST
 
 

0606(Tue)

昨日に引き続き。flower flowerでの表現力向上にさすがに驚いているので、YUI時代の諸作を聴きなおしている。3rd『I LOVED YESTERDAY』はオールタイムベストのどこかで挙げたいと思うほどには好きな作品。崩壊する業界の最期のあがきを託されてしまったそのスターシステムの只中での葛藤。退屈なハイファイ・サウンドに囲まれて、どの曲でもほぼ同じような歌い方で漂っている様はギリギリの悲鳴のようで、とんでもねえなと思う。ただその中でも例外が2曲ある。評論家をスケープゴートにしたリスナー含めた全方位へのファックオフ宣言である「Love is all」の絶唱は明らかに他から浮いた「真実」であり、それはラスト「Am I wrong?」で見事に回収されている。(そしてそれは恋愛におけるすれ違いの意匠をまとって巧妙に隠されている)


Yui - Love is all Live 2008


その後短すぎる活動休止期間を経てリリースされる4thのジャケットでは腹をくくったかのような笑顔が浮かんでいるが、この中身がいよいよJ-popの仮面をかぶった神経症の悪魔みたいな分裂アルバムなので最高にゾッとする。ミックスも何となくチグハグで、その歪みのようなものを際立たせている。そしてこの作品のラストでも恋愛模様を隠れ蓑に、いちばん大切なものをすり減らしている様が描かれている。「涙?出ないくらいシラけてるのよ 愛はもう終わったの 気づいているはずよ そんな目しないでよ モドレナクナル In fact,I love you. 傷つけてほしい」戻るわけにはいかないと、この道を行くのだと決めたはずなのに、そこに「モドレナク」なりそうになる葛藤。本当にやりたいこと、すべきことは何なのか。愛した音楽に捧げた祈りがゆがんでいく様、そしてそれを受け入れたいのに折り合いがつけられないということ。だったらいっそもっと傷つけてほしい。これは叫びですらある。
 
その痛々しさと才能の消費される様がさすがに辛くなってこの4thを最後に僕は聴けなくなってしまったのだが、どちらにしても「YUI」という存在は5枚目を1年後にリリースして結局自爆することになる。彼女は「否定からのそれでも」の体現者として偉大な存在だった。そういう人が『色』のようなアルバムをリリースできたことはひとえに良かったなと思うのである。そしてそれがYUIでも吉岡唯でもなく、「yui」であることや、楽曲のタイトルが以前と異なり全て日本語になっていることなどは、とてもよい話だ。そう感じる。
 
 

0607(Wed)

たまたま偶然で、w.p.cの傘を買うに至る。何年か前に君に2本買ってあげて以来のことである。デザインが好きで、見ているだけで満たされる思いがある。雨は嫌いだが、少しでも快い気持ちになれればいいと思う。大切にしたいと思う。
 
こんにゃく畑のリンゴ味(アロエ果肉入り!)が最近のたいへんなフェイバリットである。毎日食べてる。吸ってる。
 
 

0608(Thu)

すこぶる体調が悪い。ふだんは昼食をとらないのだけれども、薬を飲む必要があるのでと頭を悩ませる。セブンイレブンのPB商品のくるみブレッド2枚入りを選んだ。うまい。
 
そんな状態ではあるのだが、終電で少しばかり体力を回復させては、たくらみにむけてせっせと掃除をする。この部屋での生活も長いので、油断するとあちこち汚れがたまりやすくなっていてよくない。だが窓を拭いたりほうきで掃いたりは純粋に愉しい。

日中は肌寒いくらいだったのに夜になるにつれて湿度と気温が上がっていて、夜のそれは完全にあの季節に首を突っ込んでいた。腹が立ったのでGRAND KIRINの新味を買って飲んだ。こんなことをしているといつまでも治らないぞ。
 
 

0609(Fri)

来客の予定をこなし、あとは寝てばかりいた。熱が下がらない。シーツとふとんカバーを新調したばかりなので気持ちよく眠れてはいる。
 
すれ違うこと、はなればなれになること、そんなことばかりをこの数日考えている。その傍らにはくるりの音楽があって、20年の付き合いのうちその時々で聞こえ方が変わるような、そしてそれが自身の深いところで鳴ってくれるようなそんな芸術表現と出会えたことは本当に幸福であったと思うのだった。それはそうと、最近日本語の音楽ばかり聴いているのでそろそろ揺り戻しがあるだろうかと感じている。

書いていたかと思ったら書いていなかった。『火花』の2話を見たときに「おやすみなさい」ていい言葉だなと思ったのだった。さっき紙のおねーさんに偶然思い出させてもらったので記しておく。
 
 
体調を戻すべく漢方薬を飲みながらの今週はここまで。