重ねられた生活 20170812~0818

0812(Sat)

Rat Boyの1stがいよいよリリースということでニコニコしながら聴いていた。ちゃんと時代の音で感心する。出るべき音が時代の潮流とちゃんと接点をもったかたちで出てくるのほんとスゴイ。よい。


RAT BOY - SIGN ON

スカム

スカム

 
MVをいくつか見ていたらなんとなくOnly Realの『Jerk at the End of the Line』(2015)を思い出したので聴いた。わりと愛聴している。
 
Os Mutantesの『Os Mutantes』を聴いてみる。ブラジルの当時10代の3人組による1stで、サージェントペパーズへのブラジルからの回答云々らしい。えらく楽しいサイケロックでありながら、当時のブラジルの社会状況(軍事政権下で表現は危機にあった)を踏まえて聴くと、もっと切実な何かも伝わってくる。メンバーのインタビューを読んでみると単なる国家と民、あるいは右派と左派の衝突に回収しきれないものがそこにはあるようだった。そこでは「当時に右も左もない。俺たちはアナキストだった」みたいなことが語られていて、今聴くべき音楽にも思えたりもした。
 

Os Mutantes- Panis Et Circensis & Bat Macumba (Complete French TV-1969)
 
それにしても聴いてみようかな、と思ったらすぐ聞けるし、調べようと思ったらすぐ調べられるんだからだからすごい時代だ。そして時間があるとこうして好きなことができて、豊かな気持ちになる。使える言語が増えれば図書館での調べものももっともっと楽しくなるだろうななんて考えたりもする。
 
レイモンド・カーヴァーについていくつかの調べもの。公私両方の書き物をして就寝。
 
 

0813(Sun)

遅めに起きる+炭酸水。それで適当にシャワー浴びて、適当におせんべいをつまんで外へ出る。また曇天だ。セミが鳴いているが、まったく鳴きがいがなさそうである。こう天気が悪いと遠出をしようだとか公園へ行こうとか、花を見に行こうとかそういう気持ちがバキバキに折られてしまうので本当に腹立たしい。理由が必要な人間にとって、天気は重要な要素なのでそのあたりを「わかってほしい」。

だが、公の方の書き物の締め切りが迫っており、どこかで集中して書く必要もあり、そもそも遠出している場合ではないのだった。そういう意味では退路を断つという効果があったのでこれはこれでいいのかもしれないと思い直し、コメダ珈琲へ。図書館でもよかったけれど、あんな誘惑だらけのところにいってはいけない!とアラートが鳴ったので。コメダさん、追い詰められたときいつもお世話になっております…!むかし「ガイアの夜明け」(そんなものを見ていた時代もあったのだ…!)かなんかで「何時間でもいてくれ~」的なことを社長か誰かが言っていたのを見て以来、お言葉に甘えさせてもらっている。で、6時間くらい作業をして、外に出たら雨粒が落ちてきていて、極悪人みたいな気持ちになりながら駅へ向かう。凛とした面持ちで傘もささず歩いているおねーさんもいるのに、僕はもう完全にしなしなになっていてダメなのだった。本当に雨は苦手だ。

部屋に戻ると開け放っていた窓から侵入したと思われる、足がたくさんある生き物と2年ぶりの邂逅。でおったな…!という気持ちとともに薬剤を噴射、静かに処理をしてロング・グッドバイ。さすがに一人暮らしも長いとこれしきでギャーギャー言わなくなったが、それでもじんわり尾を引くのでやめていただきたい。これでこの夏はもう窓を開けたまま出かけることはないだろう。のど元過ぎるのに1年はかかるんだぞ!
 
 

0814(Mon)

また雨が降っている!くそったれ!髪を切り終えてから神保町へ。数件回るが、驚くほどに収穫がなかった。正確には欲しい本は何冊かあったのだけれども、どういうわけか手に取ってレジにもっていく前に気持ちがみるみるしぼんでいってしまった。こういう日が年に何回かあって、この日は本にとってはハズレの日なのだった。それが証拠に、大手町に向かって丸善本店に赴いても、欲しいものがなかったり一番上の棚にあって萎えたりして収穫なし。最寄駅でも書店に立ち寄ったがここに欲しい本があったことの方が少ないのでお察し、の状況。あーあ。

夜に部屋に戻ってからは書き物の続き。8割がた天気のせいなのだが、だいぶふさぎ込んでしまっている。

0815(Tue)

ひたすら書き物(いよいよ出願である)と出張の準備で1日終了。また雨が降っていてげんなり。ロンドンとかこんな感じなんだろうか。山陽のあの絵にかいたような晴れ!が恋しい。

今さながらブレイディ氏の新刊の書評を國分先生が書いてらっしゃるのを発見。「尊厳」というキーワードが出てきていて、これはきっと読まねばならない本だろうと感じている。

www.ele-king.net
 
 

0816(Wed)

雨。どんどんひどい気持ちになってくる。梅雨だと思えばこれくらい普通のはずなのだけれども、たぶん生活の状況とかいろんなものが積み重なってのことなのだろう。湿度の鬱陶しさ、傘をさしても足元や腕や持ち物たちが濡れてしまうこと、そして暗い空。太陽が恋しい。本当に。
 
朝のうちに出願を済ませ、昼は古い友人と会い、夕方には出張先へ到着。しばらくホテル生活が続く。Netflixに入会してからテレビを部屋から排除したので、大変久しぶりにチャンネルをいじくってみる。とはいえ結局スポーツ中継くらいしか見ないので、あとはラジオを聴くか、タブレットで『マスター・オブ・ゼロ』を見進めたり『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』を見始めたりしていた。
 
 

0817(Thu)

雨と仕事。ホテルに戻って、ひいきのチームが負けるのを見届ける。愉快なことが何もない。
 
 

0818(Fri)

雨と仕事。ホテルに戻って、ひいきのチームが負けるのを見届ける。愉快なことが何もない(2)
 
みんながそれぞれ得意なことを、できることをやっていけば機嫌のいい人も増えるのにね、ということを考えていたのだけれども、それだと設計上の問題がどこかで生じるのだろう。そして得意なことがない人やできることがない人はどうなるの?ということを思って、ストレスの吐露や不満の発露など、とにかくそういうもののときくらい思考がまっすぐ進んでいけばいいのにと悲しくなってしまう。
 
とにかく天気のせいでうんざりした気分なのだけれども、それだって天気のせいにしてりゃいいんだから気楽なもんだよなと言いたくなってくる。去年の12月のころは確か年齢を重ねてきたことにその言い訳を求めている自分に悪態をついていた記憶がある。とにかく全方位に対する攻撃的な気分であってもその切っ先のようなものがうっかり本当によそへ漏れ出していかないように、自分の内側へと向けていく。そうやって生きてきた。これからもそうやって生きていくのだろうか?それはその後の自分にしかわからないことだ。そうこうしている間にも瞬間は遠くへ。来週こそ晴れてほしいねの今週はここまで。