重ねられた生活 20171104~1110

1104(Sat)

出勤に際し靴を選んでいたらあの人からのメッセージと君の写真。不意打ち。純白のドレスに身を包んだ君の姿がそこに映し出されている。瞬間、涙がこみ上げる。涙腺を刺激している感情はなんだ?悲しいわけでも嬉しいわけでもなく、感動とも違う。君がドレスを着ている。ただその事実だけで、そしてその事実だけがつき動かすことのできる感情がある。そういうことだろう。僕は自分の中に名前を持たない感情があるということを好ましく思う。そしてそういうことを感じさせてくれる存在に、大きな感謝の念を抱く。流れ流れてようやくたどりついた約束の日の前日というタイミングも完璧だ、と思った。それでこそ君なのだ。ほとんど決まり事のように詩集を鞄に忍ばせて仕事へ向かった。
 
なんとなくお互いにお互いを待っているのもおなじみになってきた夜の風景。強い風に任せて嘘っぽく紛れていくのにも慣れてきた。明日の今頃、もっと冗談みたいな気分になっているんだろう。
 
 

1105(Sun)


フレンズ「NIGHT TOWN」
 
こういう時間を過ごしてるとき、なにしてんだろと思うクセ何とかならんのかなあ。
 
出かけるのは初めてだから…なんて思っていたのに、気づいたら予定の3倍近くの時間を2人で過ごしてああでもないこうでもないと話しては笑い合った。いろんなことに驚き合ったり、ドジに巻き込まれてはしょうがないなあと見守ったりしながらたどり着いた好きな人の街。僕の街とも君の街とも全然違った。坂をのぼって、祖父母が生きた土地に少しだけ似た景色を抜けてマンションにたどり着く。ベランダから今来た道を反芻する僕の隣で「あれが…」と東京の電波塔二種の場所を教えてくれるその声が、この先はどうあれ、今このときは僕だけのものであるということを嬉しく思う。今夜僕が覚えた居心地の良さと同じだけのものを、与えられていたのならよいのだけれども。
 
 

1106(Mon)


欅坂46『風に吹かれても』
 
この前、大森女史のカバーについて書いたときにたまたま聴いて以来、この曲(とMV)がなんだか妙に好きになってしまい(2番のサビのとこのステップが好き。というか僕はああいう足さばきが好きなのかもしれない…)、リリースされた曲を一通り聴くに至ってしまった。それで…ハイファイな音作りはともかくとして、ポップスとしてなかなか良いのでは~という気持ちともう完全に市場は10代に向けてだけ開かれているのか!とかなんとか思いながら楽しんでいたのだけれども
 

欅坂46『W-KEYAKIZAKAの詩』
 
これがどうにもおかしな琴線に触れてしまった。おそらくグループのステイトメントを表明するものであろう自己言及的なこの曲でこのバタバタ感である。あちこちで見られる不揃いな感じ、「お、やってんな!」とももちろん感じるのだけれども、それ以上に、コメントを見る限り(プロデュースされたものであるとはいえ) どうやら様々な「物語」が詰め込まれているらしいこの曲でさえも、いやだからこそ、きっと深いところではそれぞれがそれぞれのために歌い踊っているのだろうというその事実が、とても尊いことのように思えたのだった。自由を求めるとはそういうことなのだ。ここに映る彼女たちにはぜひ幸せになってもらいたいという良く分からない感情がわきあがってきてしまった。ああこれ、僕、メンバーを覚えたりし始めるのだろうか。。
 
 

1107(Tue)

しばらく前からずっと踏ん張っていたのだけれども、体調の悪さに耐えきれなかった。改札を抜けて、ほとんど帰巣本能だけで家路に着く。道中、過去の知り合いとばったり会って、少し言葉を交わしたのだけれども、果たして目がちゃんと開いていたのかどうか。部屋にたどり着いて、息も絶え絶え最低限のことを済ませ、そのままベッドに倒れこんでしまった。
 
  

1108(Wed)

悪夢を見たという漠然とした記憶とともに起床。汗びっしょり。たぶん熱があったのだろう。最近寝付きも悪く睡眠自体も浅いことが続いていたので次の休みは寝て過ごそうと決める。薬の飲み過ぎで気分悪く日中を過ごす。
 
それでも夜に好きな人と言葉を交わすうちに少しだけ元気が出てくる。街にあらわれたイルミネーションについて「まあまあ綺麗だね」という評価をともにしながら歩く。いつもより街に人が多いということだけで笑いあってしまう、そういう時期にいる。心を通わせる入口は、こんなにも幸福であること、ずいぶんと長い間忘れていた気がする。
 
 

1109(Thu)

いろんな嫌なことがあったけれど、比較的穏やかな気持ちでやり過ごすことができた気がする。辛いときに戻れるセーブポイントみたいなものが頭の中にあるというのは大事なことだ。
 
ストレンジャー・シングス』シーズン2を見終えた。はみ出し者への賛歌、ここに極まれりだ。続編も予定はされているようだけど、これ以上の展開があるのだろうかとも思っている。それだけ満足感は高かった。良い表現を見られて幸せである。
  
 

1110(Fri)

書店に『神学大全』を買いに行ったのだが空振り。これだから…。アウグスティヌスを読んだのは実存的な部分において共鳴するものがある気がしたから。ではトマス・アクィナスに触れようとしているのはなぜなのか。それは、瞬間への信仰を抱きながらも同時に誰もそこにはたどり着けないのだと思っているから。つまりは、神のもとへと理性ではたどり着けないのと同じ構図がそこにはあって、だからこそ「哲学は神学の婢」として統合・完成させたその体系を学んでおくことは、僕が瞬間を追う上で重要なことだろうと考えているからだ。

学校の方は本丸の哲学分野に入る前にひとまず外国語の単位を取らなければならないわけだけれども、テキストを読み進めて行くとおそらく単位の修得とは関係ないと思われる枝葉の部分で面白くなってしまってなかなか進まない。

Netflix、とりあえず次のドラマをさがす前に未消化になっている『ラヴ』と『マスター・オブ・ゼロ』を見終えようと思っていたのだけれども、『ストレンジャー・シングス』の出演陣に話を聴く番組が配信されていて、そちらを先に。まだ途中なのだが、あの子供たちがちゃんとキャラクターの造形を理解し自分のものとして演じているのが伝わってきて愛おしい気持ちになる。ダファーブラザーズが兄弟ばかりでつるむせいで幼稚園を留年になったエピソード最高だった。キュートなのは演者ばかりではないのか!そんな今週はここまで。