2018年夏の折り返しに寄せて

▼今これを窓から夕焼けを眺めつつ書いている。久しぶりの休みを少しの体調不良とともに怠惰に過ごした後悔と、予報を信じて外出を控えた判断の誤りへのいら立ちと、そのどちらが強いかなということを考えながら。よい色だ。雲は多いが。
 
 
▼雲と言えば、この夏の前半は教室の窓から毎日外を眺めては子どもたちと雲の形について話していた。これは好みじゃないとか、もう少し大きさがどうとか。雲も含めた空の様子というのは刻一刻と変わっていて同じものはなくて、とてもよいと感じる。「先生が注文したやつになってるよ~」と教えてくれたの、色がもう少し薄かったら完璧だったね。テキストに目を戻させながら、ふとした時に空を見る人生をこの子達には歩んでほしいと思っていた。
 
 
▼夜には暑いからという理由で指だけをつないでは、恋人と空を見上げながら帰ったことがあった。彼女は夏の空の方が近くて好きだと言って、僕は冬のそれの方が高くて好きだと言った。相容れねえなあと笑うその人と、それでも最後は都会の空は汚いねと俗っぽく納得しあった。僕は都会に出てきてから空を見るのが好きになったということは言わなかった。
 
 
▼書いていなかったのは満たされているからではなく、ましてや書いて異化しなくても日常を行けるようになったからでもなく、単純に多忙だったからなのだった。2足のわらじに追加してやることがあって、隙間の時間にいろんなものを詰めてこなしていく日々。生活をしながら人生をいこうとして、さらに僕なりの真理を言葉として残そうとすればどうしたって無理は出るというものだ。しばらくは仕方がないかと思っている。
 
 
▼音楽は浴びるように聴いている。外国の方はきりがないので、また記す頻度が上がった頃にでも少しずつ触れていこうと思う。国内の音楽でいえば、lyrical schoolの新作が抜群に良くてこればっかり聴いていた。つれてってよで始まって神様ごめんねで閉じるというコンセプトだけで僕には言いたいことがたくさんあるし、スチャとかせきが参加した楽曲も最高だしでもう今年の夏はこれだけでいいかってくらいの気持ちである。

lyrical school「つれてってよ」

 
 
▼…とまあここまでつなぎつなぎで書いてきて、書き始めてから3日経ってしまった。久しぶりに書こうとすると時間がかかって仕方がない。それにしても今年の夏の前半は暑かった。梅雨が一瞬で終わった時の喜びは、その速度と同じくらいあっという間にどこかへ行ってしまった。それでも何年かぶりにまともな花火を観たり、誰かと泊りがけで出かけたりもした。自分のこと以外で嬉しいこともあって、それは自分のことなんかよりよっぽど喜ばしいことだった。うんざりするような暑さ、それに負けずに外へ出て会いたいと思える人がいる人生でよかった。君のことを思い出す回数はぐんと減ったけれど、僕が瞬間のことを思うとき傍らにはやはり君がいて、これからはどれだけ上手に、どれだけ丁寧にそれを反復していけるのかというフェーズなのだろう。あとはそうだな、強めに、死ぬのやだなあと思っている。まだまだ見えていないものがあるのだから。