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2017年2月14日の断片日記

▼毎朝、8年はやっぱり長いよなと思うのだった。でも、そのうちのいったいどれだけの時間を僕らはまともに向き合って生きていたのだろう。君にそれを問うても、そんなのほとんどなかったじゃんと連れない返事。それでも今ならその返事の意味が分かる気がする。「そうだね、ごめんね」「まったく、ほんとだよ」そう言って僕らは笑い合う。君はただそこにあり、僕は少しずつルールを犯していく。振り返れば、両手をひろげてぱたぱたと走り去る後ろ姿。しょうがないなの空気。夜の歩道に並び立ちタクシーを待つ折に、歩みよったその倍遠ざかる横顔。映画だ、と思う。
 
 
▼きらい、でもきらいじゃないよ。あなたを振り回したことなんて一度もないわ。今15秒も見ててあげたのに気付かなかったね。先に行ってるね、でもついてこないで。これでおしまい、もうすぐおしまい、ばいばい。そう言って君は、赤い舌を出して逃げて行く。比喩ではなく、本当に本気のあっかんべえ。時計の止まった部屋で、何時間も、何日も。同じ話を何度も聞かされるのを素知らぬふりで許し、同じ話を2度すれば叱られる。そうやって僕は何度も乗り遅れ、乗り過ごす。音楽だ、と思う。
 
 
▼新しい季節は、冗談みたいだ。僕の傷も、流れ出す血も、そこに投げかけられる言葉たちも、どれもこれもこんなにもリアルなのに、僕が見ている光景だけがすっぽりと現実感を失っている。僕は思う。やはりこの関係には疑義を投げかけるしかないと。まやかし、蜃気楼、虚構。表現はなんでもいいが、今僕が飲み込まれているこの時間が、そのまま僕の望む「幸福な結末」に着地するとはどうしても思えない。むしろ、美しく終わらせるためにもう一度共犯関係を結びなおそうと、そうしているようにさえ思える。もしそうならば、8年はやはり長かったのだ。ただその1点においてのみ、僕らが意を同じにできたのであれば、それはそれで甘美な響きに思える。


▼そう遠くない未来にこの季節は終わる。次がどんな季節になるのか、暑いのか、寒いのか、晴れるのか、曇っているのか…それは分からないけれど、僕にはそれを受け止める義務がある。いずれにしても、美しく終われば、僕らは僕らの歴史に残るだろう。「もっと綺麗になって、そうしたらまた会いに来るね」「そのままでいいから、そのままがいいから、ずっとそばにいてほしい」現実感を失えばこそ、築き上げられる城もある。そのとき僕らの間にある言葉は事実だろうか、それとも真実だろうか。あるいは。

悲しそうだ。
あなたは言葉で語る。わたしは感情で見つめているのに。
君とは会話にならない。思想がない。感情だけだ。
違うわ、思想は感情にあるのよ。
それじゃ本気で会話してみよう。君の好きなこと、やりたいことは?僕も言うよ。まずは君からだ。
花、動物、空の青、音楽…わからない。全部よ。あなたは?
野望…希望…物の動き…偶然…わからない。全部だ。