2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧
▼おかしなペースで働きづめた後に、急に年末だからといって市井の中に放り込まれても、どうふるまえばいいかわからないじゃないかということを考えながら朝の街に出る。行きかう人々の表情を情報として処理する。つながりの顔だ。年末ってこんなんだったな、…
▼クリスマス周辺のことでいえば、以前は街の雰囲気が好きだった様な気もするが、この生活を始めてからはそんな風情も満足に感じられぬうちに過ぎ去っていく他の365分の1たちと同じような時間になっていた。そのこと自体はどちらかといえば好ましいくらいに思…
▼役割の抜け殻があちこちにあるのだった。あの人からの4年前の手紙を読み返しながら(我ながらよくとっておいたと思う)、ここで言及されている人物はいったい誰なんだ、と思う。僕は常に何らかの役割を演じて、それとして適応することで生存してきた。僕は…
▼その嘘は気遣いなのか否か。なんであれ、今の僕には結果がすべてだ。朝の透明な空気を吸いながら、顔をつくって予定外の電車に乗り込む。定期は昨日の上着の中。久しぶりの切符だ。静電気に気をつけながら改札を通り抜ける。階段をのぼった記憶なんかないの…
▼絶対に後悔すると分かっている決断をした。下す直前まで頭でアラームが鳴りつづける。感情の奴隷になるな、後悔するのは分かっているはずだ、とけたたましい。僕は笑ってしまった。こんなときでも、僕の人生をぼくが見ているのかと。 ▼決断からほどなくして…
▼それでも逢う。おぞましいほどの緊張感とほんの一瞬の「これまで」。僕らはいつだってはなればなれになっては再び並んで、永遠なんて、永遠の愛なんて、と繰り返してきた。繰り返してきたのだが。 ▼つまりは地獄の季節にも移り変わりがあるということである…
▼君の味方だと言ったその口で君をののしる男の言葉に、男の存在に、いったいどれほどの価値があるだろうかと考える。傷つけた相手のことを思いやるふりをして自分がかわいいだけだということが顔をのぞかせる。その顔は、部屋の中で睨みあう二人のうち、入り…
▼なんでもそうやって年齢のせいにしてりゃあいいんだから、気楽なもんだよな。そう悪態をついたのは、まだどこかで自分に期待して、守ってあげたいとそう思っている自分がいたからに違いなかった。自分がかわいいから、自分にまた2本の脚でしっかりと立って…