2017年1月8日の断片日記

▼ああ、これが「反復」だったのだ、と思いいたる。追憶は過去へ向かい、不幸へ到達する。だが、祈りの中で受け取りなおし再会し続けるこの日々は、未来志向の、まごうことなき「反復」そのものである。過去、僕は確かに君に導かれ、瞬間と永遠の深淵に足を踏…

2017年1月7日の断片日記

▼朝に目が覚めたら、もっと罪悪感にさいなまれるかと思っていた。それがうっすらと横たわっているのは感じるけれど、コンフューズをもよおすものでもなければ、攻撃的な気持ちになるでもなかった。喪失感といえばそうなのかもしれないけれど、もともとが空洞…

2017年1月6日の断片日記

▼寂しさ紛らすためなら誰でもいいはずなのに、あるいはそれに類するフィーリングが世の中にはある。それは言うまでもなく、誰でもいいのだろうか(いや、よくない)の表れでありそれが普遍かつ一般なのだという理解をしつつも、はて本当に誰でもいいなんてこ…

2017年1月5日の断片日記

▼以前はそんなことあまり思わなかったのだけれども(それはなんて幸せなことなんだろう!)、なんか最近は職場にいる時間をなるべく短くしたい欲求がある。そんなわけで部屋を出るのも遅刻ぎりぎりの時間なのだが、フィジカルによれば、遠回りにもいろいろあ…

2017年1月4日の断片日記

▼昨日からの流れで花屋に寄る。混んでいたので買うに至らなかったが、店内を非常に楽しく見た。あれこれ眺めてはそれらを部屋に、キッチンに、置く様を思い浮かべる。その中で、そういえば昨年は美術館に足を運ぶ回数が少なかったななどと思う。あれだけぎゃ…

2017年1月3日の断片日記

▼昨晩寝る前に本当に久しぶりに花言葉を調べた。 ▼朝。相変わらず遠回りをする身体と話す。花を買おうと思うのだけれども。お兄さん。はい。乙女っすね。女々しいと言わないだけ優しいよね。その言葉嫌いっす。僕も。 ▼それで、仕事帰りに花屋へ出向くも正月…

2017年1月2日の断片日記

▼夜中の変な時間に目が覚めてしまい、このまま二度寝をしたら遅刻をするぞと聞こえてきたので映画を見て夜明けを待った。ライブラリ(とはいえもう箱の中につっこんであるだけのような状態ではあるが)から目をつむって2つ選んだら、『JUNO/ジュノ』と『ポ…

2017年1月1日の断片日記

▼朝、目が覚めて熱がまだ奥の方に残っていることを確認し、体を無理やり起こす。とびきりの空に一瞥をくれた後、あたたかい飲み物を飲みながらぼんやりと今年について考えた。曰く、もっと空を見ようということと、それ以前にもっともっと見るということに意…

2016年、あるいはこの8年間の終わりに寄せて

▼おかしなペースで働きづめた後に、急に年末だからといって市井の中に放り込まれても、どうふるまえばいいかわからないじゃないかということを考えながら朝の街に出る。行きかう人々の表情を情報として処理する。つながりの顔だ。年末ってこんなんだったな、…

2016年12月25日の断片日記

▼クリスマス周辺のことでいえば、以前は街の雰囲気が好きだった様な気もするが、この生活を始めてからはそんな風情も満足に感じられぬうちに過ぎ去っていく他の365分の1たちと同じような時間になっていた。そのこと自体はどちらかといえば好ましいくらいに思…

2016年12月21日の断片日記

▼役割の抜け殻があちこちにあるのだった。あの人からの4年前の手紙を読み返しながら(我ながらよくとっておいたと思う)、ここで言及されている人物はいったい誰なんだ、と思う。僕は常に何らかの役割を演じて、それとして適応することで生存してきた。僕は…

2016年12月20日の断片日記

▼その嘘は気遣いなのか否か。なんであれ、今の僕には結果がすべてだ。朝の透明な空気を吸いながら、顔をつくって予定外の電車に乗り込む。定期は昨日の上着の中。久しぶりの切符だ。静電気に気をつけながら改札を通り抜ける。階段をのぼった記憶なんかないの…

2016年12月18日の断片日記

▼絶対に後悔すると分かっている決断をした。下す直前まで頭でアラームが鳴りつづける。感情の奴隷になるな、後悔するのは分かっているはずだ、とけたたましい。僕は笑ってしまった。こんなときでも、僕の人生をぼくが見ているのかと。 ▼決断からほどなくして…

2016年12月16日の断片日記

▼それでも逢う。おぞましいほどの緊張感とほんの一瞬の「これまで」。僕らはいつだってはなればなれになっては再び並んで、永遠なんて、永遠の愛なんて、と繰り返してきた。繰り返してきたのだが。 ▼つまりは地獄の季節にも移り変わりがあるということである…

2016年12月15日の断片日記

▼君の味方だと言ったその口で君をののしる男の言葉に、男の存在に、いったいどれほどの価値があるだろうかと考える。傷つけた相手のことを思いやるふりをして自分がかわいいだけだということが顔をのぞかせる。その顔は、部屋の中で睨みあう二人のうち、入り…

2016年12月4日の断片日記

▼なんでもそうやって年齢のせいにしてりゃあいいんだから、気楽なもんだよな。そう悪態をついたのは、まだどこかで自分に期待して、守ってあげたいとそう思っている自分がいたからに違いなかった。自分がかわいいから、自分にまた2本の脚でしっかりと立って…

2016年10月12日の断片日記

▼コミュニケーションの折、頭を通って出てきた言葉は我ながらかなりよくなっているな、と思えるようにはなってきた。一方で、考えなしに漏れ出した言葉の信頼性のなさは深刻だ。言い終えてから、あの方が良かったとか他の言い方が選択できたのに、と思うこと…

ノスタルジイなんて死んでしまえみたいなことを…Disc2

wowee-zowee.hatenablog.com ▼この話は実は自転車の昔の広告で「身分相応というけど気取ることも大切だ」みたいなコピーがあって、その言葉が本当に好きだっていうことから始まっている(のに全然違う着地をした。) ▼なぜ途中で話が変わってしまったかと言…

2016年9月1日の日記

▼夏を振り返る。断片的に浮かんだことを、記していく。梅雨があけて快晴がやってきて、それでもそれは長く続いた印象はなかった。確かに連日暑かった記憶はあるのだけれども、どういうわけか去年よりは過ごしやすかったように思えた。夏に強くなったとは考え…

才能のなさを呪う、ということのもっともっと手前の

▼才能のなさを呪う、ということのもっともっと手前のところでの焦燥感。自分には語るべきこと、書くべきことがないのではないかという恐怖。そう、それは恐怖そのものだ。わたしのすがたとは。わたしの怒りとは、楽しみとは、人生とは…日々生きていて、語る…

2016年7月2日の日記

▼誰かが死なないと分からないところまで来ているとして、果たしてその誰かが死んだとして本当に分かるのか?という疑念もある。 ▼その誰かだって「誰か」ではないのだ。兄弟、あるいは父母や祖父母、子や孫であるかもしれないし、恋人であり妻であり夫である…

2016年6月29日の日記

▼ストレスを感じる暇もないほどに忙しい1か月が終わろうとしている。とはいえ忙しさが止むわけでもなく、この後も大変なのだ。返却期限までに読み終わらずに本を返すあの悲しさ。時間が増えないなら、体力を増やすしかないのだろう。 ▼フィッツジェラルドの…

2016年6月19日の日記

▼そういえばセルフヘルプの手法として「書きだす」というものがある。社会心理学の入門書を読んでいたら、まあそれに似たようなことが書いてあって思い出した次第。そのときに思ったのが、言葉にして異化してなんとか生きてるみたいなことを僕が言うとき、や…

2016年6月17日の日記

▼29年目が終了したらしい1日は深夜と朝の間までの労働で幕を閉じ、30年目が始まったらしい1日は目が回るほどの忙しさに振り回されているうちに終わってしまったようだった。30になることにもう少しじたばたするのかとも思っていたが、何か意外なほど頓着しな…

2016年6月13日の日記

▼余裕がなくなってきて、こうして文字にして異化する作業などを通して自分をなんとか立たせるといったようなことすらままならなくなってきたときに、他人からの承認を必要としたりするのだろうなと思ったのは、赦されている僕自身は、他人をどれだけ許すべき…

2016年5月16日の日記

▼さてまた新しい1週間の始まりだ、となぜか普段思いもしないようなことを頭の中で呟きながらシャツに袖を通す。土曜日も日曜日も働いていて(神様だって休んだってのに!)、つまりはずっと労働の日々が続いているのに、なぜ月曜が始まりだとそう自然に考え…

2016年5月13日の日記

▼忙しく働いた。こんなに天気が良いのに…。やはり働きながら自分の、自分自身のための関心事について勉強を続けるというのは本当に大変だと感じる。何とかして時間を捻出しなければ。 ▼保坂センセイの『プレーンソング』を読み終える。 プレーンソング (中公…

2016年5月12日の日記

▼来客で眼を覚ました今日は、よく晴れた1日だった。日焼けをしたいと少し前から思っていて、でもそれは人工的なそれではなくてあくまで自然の光で焼きたいのであった。もともとあまり焼けない方であったのだが、意識的に日向へ日向へと移動をし続けているう…

2016年5月6日の日記

▼旅というのは難しくて、油断しているとすぐ日常から抜け出すとか、たまったストレスを発散するとかそういう方向性での計画になってしまうから気をつけなければいけないと思う。旅にそういう理由を持ち出すのはすごくさびしい話だ。非日常ではなくて、日常の…

2016年4月24日の日記

▼数日前に『ストーナー』を読み終えて、別館(の方が先にできているのだが)に感想を書き記しておいた。文脈上そぐわなかったのでそこで言わなかったことがあって、それは大学という「場所」はとても良いものだということである。物語の中でとても丁寧に描か…